業務時間の計測は、担当者の速さを比べる前に、どの作業や待ちで負担が生じているかを知るために行います。作業に手を動かした時間と、完了までの経過時間を分けると、入力の効率と確認待ちの問題を区別できます。計測の目的を共有し、日常業務を妨げない記録方法を選んでください。
何を判断するために測るか決める
自動化の候補を探す、担当の偏りを確認する、処理が遅れる原因を調べるなど、目的によって必要な記録は異なります。すべての行動を細かく記録しても、判断につながらなければ負担だけが残ります。対象業務と、計測後に決めたいことを先に書きます。
計測結果をどのように使うかを利用者へ説明します。業務条件が違う人の時間を単純比較すると、難しい案件や支援作業を引き受ける人が不利に見えることがあります。個人評価に使う前提の有無を曖昧にせず、業務改善の目的と記録の範囲を明らかにしてください。
作業区分を定義する
受付、内容確認、入力、照合、修正など、改善の単位になる区分を作ります。区分が細かすぎると計測のための操作が増え、粗すぎると原因が見えません。記録する人が同じ意味で選べるか、実際の作業を使って試します。迷う区分は説明を補うか整理します。
同時に進む作業も考えます。処理の実行を待ちながら別の作業をする場合、両方を作業時間として足すと実際の稼働を超えることがあります。経過時間、手を動かした時間、待ち時間を分け、集計時に何を足しているかを明示します。割り込みの扱いも揃えます。
記録方法を選んで試す
開始と終了を記録する方法、作業ごとにまとめて記入する方法、既存システムの履歴を使う方法などがあります。正確さだけでなく、記録の負担と確認できる範囲を比較します。システムの保存時刻は、作業開始や実作業時間をそのまま示すとは限りません。
最初は対象を絞って試し、記録を忘れやすい場面や区分の迷いを確認します。後から思い出して記入した値は、その旨を分けると解釈しやすくなります。未記録をゼロとして扱うと短く見えるため、値がない理由も残してください。完璧な記録を求めすぎず、不確実性を見える形にします。
計測表の想定記入例
受注内容の確認を対象とする想定例です。「作業区分:依頼内容の確認」「対象の条件:不足資料あり」「実作業:依頼文と資料の照合」「待ち:相手への追加確認」「割り込み:別件の問い合わせ」「完了条件:必要事項が揃い次工程へ渡せる」と記録します。
この例では、全体が長引いても入力操作だけが原因とは限りません。実作業が長いのか、返答を待つ時間が長いのかで改善方法が変わります。数値の横へ業務条件を残すことで、定型案件と例外案件を同じものとして比較する誤りを避けやすくなります。
集計は条件の違いを見て行う
作業別の合計だけでなく、案件の種類や資料の揃い方で分けます。代表値だけを見ると、例外的に長い処理が隠れる場合があります。長引いた記録をいくつか確認し、再確認、二重入力、承認待ちなど、時間がかかった理由を業務の流れに戻して考えます。
比較期間による違いも確認します。繁忙期と閑散期、担当変更の直後と通常時では条件が異なります。測った結果を一般的な標準時間として使う前に、対象に偏りがないかを確認してください。少ない記録から全社の負担を正確に推定できるとは限りません。
改善後も同じ条件で確かめる
計測で負担が見つかったら、入力の削減、資料の案内、承認の見直しなど、原因に合う変更を試します。新しいツールを入れることだけが選択肢ではありません。改善後は同じ定義で再び記録し、別の作業へ負担が移っていないかも確認します。
実作業が短くなっても、確認漏れや差し戻しが増えたら全体としてよいとは言えません。時間と合わせて、作業の完了条件や品質を確認します。計測を続ける負担が大きい場合は、必要な判断ができた段階で対象を変えるなど、記録自体の目的も見直してください。
業務時間計測のよくある質問
細かく測るほど正確ですか。記録操作が増えて作業が変わる場合もあります。改善に必要な粒度を優先します。
待ち時間は削減できますか。すべてをなくせるとは限りません。確認材料を先に揃える、判断先を明確にするなど、発生理由に合わせて検討します。必要な確認まで省かないことが重要です。
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