SaaSとスクラッチ開発を比較するなら、最初に「既存サービスへ業務を合わせられる部分」と「独自に残す必要がある部分」を分けます。一般的な業務はSaaSを試し、独自の手順や連携が競争力に関わる場合は個別開発も検討する、という順序が判断しやすい方法です。どちらにも保守と運用の責任があります。
SaaSとスクラッチ開発とは
SaaSは、提供事業者が運営するソフトウェアをネットワーク経由で利用する形態です。利用側はアカウントや業務設定などを行います。スクラッチ開発は、目的に合わせてシステムを個別に設計・実装する方法です。開発を外注しても、何を作り、誰が運用するかは発注者側の判断が必要です。
6つの観点で比較する
| 観点 | SaaS | スクラッチ開発 |
|---|---|---|
| 開始まで | 既製機能を試しやすい | 要件整理と開発が必要 |
| 業務適合 | 設定範囲や製品仕様に依存 | 必要な業務に合わせて設計 |
| 費用 | 利用人数・プラン・追加機能を確認 | 開発に加え保守・基盤費を確認 |
| 変更 | 提供者の仕様変更の影響を受ける | 自社判断で変更できるが工数が必要 |
| 連携 | APIの有無・制限を確認 | 接続先の仕様と運用を設計 |
| 終了時 | 取り出せる形式と期限を確認 | ソース・データ・管理情報を引き継ぐ |
総費用は同じ期間・範囲で比較する
初期費用だけでなく、利用料、設定、データ整理、移行、教育、連携、保守、将来の改修を並べます。SaaSは人数や機能の追加で費用が変わる場合があり、開発はリリース後の変更や基盤更新が必要です。「自社で作れば月額不要」「SaaSなら運用不要」と考えないでください。
比較期間は自社の投資計画に合わせます。確定している費用と、利用人数増加などの仮定を分け、複数の条件で比較すると意思決定の前提が明確になります。
SaaSを試すときの確認項目
- 代表的な業務だけでなく、取消・差し戻しなどの例外を処理できるか
- 権限や承認、変更履歴が必要な水準を満たすか
- 移行データを読み込めるか、必要な項目を出力できるか
- 外部連携に追加プランや利用制限がないか
- 問い合わせ窓口、障害情報、サービス終了時の扱いを確認したか
独自開発を選ぶなら保守の引き継ぎまで決める
独自性のある処理、既存設備やシステムとの複雑な連携、固有の権限要件が重要なら、個別開発に意味があります。一方で、仕様書、ソース、テスト、データ出力、管理アカウントの引き継ぎが不足すると、開発会社の変更が難しくなります。契約と納品物、運用責任を事前に確認します。
組み合わせる方法もある
会計などの一般的な機能は既存サービスを利用し、独自の受付や業務画面だけを開発する構成も候補です。ただし、連携が増えると障害の切り分けやデータ整合の確認が必要になります。連携対象を増やす前に、誰がエラーを見つけ、どこを直すかを決めましょう。
よくある質問
ノーコードはどちらに含まれますか?
製品によって利用形態が異なります。画面を作れるかだけでなく、データ管理、権限、拡張、持ち出しの条件を確認し、同じ比較表に載せると整理できます。
将来大きくなるなら最初から独自開発ですか?
成長だけを理由に決める必要はありません。現在の業務と次の段階の要件を確認し、データを取り出せる状態を保ちながら段階的に判断します。
代表業務を試してから決める
比較表だけで確定せず、実際の担当者が使う代表業務を試すことが有効です。開発の対象範囲はシステム・アプリ開発、選定前の課題整理はITコンサルティングをご確認ください。